善意に満ちていても

 先日、「レインボーアパートメント柴又」の1人の世話人宛で、「障害者グループホーム従事者基礎研修」の受講修了書が当ホームの郵便受けに舞い込みました。東京都の委託会社が令和5年11月に催した「障害者グループホームの人材育成支援事業」のオンライン研修の修了書が郵送されてきたのです。

 この研修の主軸に据えられていたのは「障害者虐待の防止」です。平成24年10月1日に施行された障害者虐待防止法の要諦は次の5項目。それらのいずれかに該当する行為が障害者虐待とみなされるとされています。

①身体的虐待......障害者の体に外傷が生じる、もしくは外傷が生じる恐れのある暴行を加える。または、正当な理由なく、障害者の身体を拘束する。

②性的虐待......障害者にわいせつな行為をする。または、障害者にわいせつな行為をさせる。

③心理的虐待......障害者に対する「著しい暴言・著しく拒絶的な対応・不当な差別的言動」、その他、障害者に「著しい心理的外傷を与える言動」を行う。

④ネグレクト(放棄・放置)......障害者を衰弱させるような「著しい減食・長時間の放置」、その他、障害者を擁護すべき職務上の義務を怠るなど。

⑤経済的虐待......障害者の財産を不当に処分する。障害者から不当に財産上の利益を得る。

 もちろん、私たち障害者施設従事者は、これらの5項目を胸に留めて業務に勤しんでいます。ただ、心の隅に綴っておきたいのは、いや綴っておかなくてはいけないのは、障害者虐待防止法に触れなくても、「良かれと思って行った行為が障害者を深く傷付けるケースもある」ということです。

 たとえば、利用者さんとの精神的距離を縮めようとあだ名を付けて呼んだり、利用者さんの出費を抑えようと希望よりも低価格の商品購入を強引に勧めたり......。

 悪意を持って行う虐待は言語道断ですが、悪意が皆無でも、さらに言えば善意に満ちていても、利用者さんを傷付ける行為は回避しなくてはいけません。「レインボーズアパートメント柴又」では、スタッフ一同、利用者さん一人ひとりの心情を推し量った「行動・言動・態度」で自立をサポートし続けていきたいと考えています。

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